FC KYOTO is MY LIFE
あれから二日が過ぎようとしている。
三度目の降格は僕らになにか強い意識を植え付けた。
それを言葉で表現するのは難しい。いや、むしろ表現なんかはしない方がいいだろう。
西京極に集うファンやサポーターはその「なにか」を、底冷えのする京都の町で、
それぞれに探しながら、また春に出合うのだから。
僕らはまた、次の春を待つつかの間の日々に入る。
土曜日、Jリーグ1部の京都の最終戦を観に行ってきた。
京都が06年をJ1で戦う最後の日。
同時に浦和では、浦和とG大阪が優勝を争う直接対決を行う。
降格争いではC大阪と福岡が、J2では柏と神戸が昇格をかけた戦いに挑む。
そう、それはそれぞれの土曜日。喜びと悲しみが錯綜した土曜の午後だった。
僕はキックオフ1時間前に西京極に到着。
肌寒く曇りがちの空だった。
最終戦のカードは京都vs名古屋。
名古屋はここ数試合、確実に調子を上げてきている。
京都は降格が決まっているとはいえ、ホームで最終戦を飾るという意地がある。
絶対に負けられないということだけは確かだ。
スタジアムに向けて歩いていると、秋の深まりを感じさせられる様に、
途中にあった銀杏の木が本当に美しかった。「本当にシーズンが終わるんだな。」と思った。
当日券でホームゴール裏へ。
1時間前にも関わらず、ゴール裏はけっこう人が入っているようだった。
降格が決まり、相手も中位の名古屋なので、もっと観客が少ないかな、と思っていたが、
京都のサポーターの、「最後まで見届けてやろう。」という気持ちを感じた。
京都サポーターはシーズン途中と変わらずに、選手のアップ時から
チャントを歌い、選手達をそして自分たちを励ましていた。
14:03分 KiCK OFF。
非常に名古屋の寄せが早い。京都はなかなか前にボールを運べないでいる。
前半、名古屋DFのスピラールに、CKからヘディングでGOALを決められた。
入れられた瞬間、京都サポーターはさらに大きなチャント(応援歌)で選手を鼓舞する。
しかし、京都の単純なミスが目立つ。頼みのパウリーニョは前線で孤立し、
MFのフォローも遅く、チーム全体に連動性がない。
当然、攻撃は単発的になるし、うまく名古屋の術中に嵌っているように見える。
たまにあるチャンスも、決定力に欠け逃しまくりだ。
前半は京都が自分たちのサッカーをさせてもらえずにハーフタイムへ。
後半、京都が気合を入れなおしたことを期待し、僕らは歌う。
しかし前半と変わらず、名古屋の巧みな強いプレスでチャンスが作り出せない。
イライラする展開が続く。フリーキックのチャンスも大きく外した。
「本当にこのまま終わっていいのか?」というサポーターの思いも、
ますます強くなってくる。
そうこうしている内に、接触プレーで京都のDFが退場!
残り時間を10人で戦うことに。
しかし、僕らサポーターは「諦めるな!」とばかりに歌う。
そこには「京都のプライドを見せてくれ!」という思いしかない。
しかし、ロスタイムが終わり、西京極に今季の終わりを告げるホイッスルが鳴り響いた。
誰も言葉にはならなかったし、できなかった。
みんな無言でピッチの選手たちを見つめていた。
西京極には名古屋サポーターの歓喜の歌だけが響いていた。
名古屋のサポーターへの挨拶が終わり、ピッチ中央には京都の選手とチームスタッフが、
観客へ最終戦の挨拶をするために残っていたが、なかなか挨拶が始まろうとしない。
不意に痺れを切らしたコールリーダーが拡声器でピッチへ怒りをぶちまけていた。
なんとも言い様がない怒りが、サポーター達を取り巻いていた。
ピッチに京都の社長が現れた瞬間、ゴール裏から怒号のような大ブーイングが巻き起こった。
もちろん僕もブーイングをした。降格をしたこともそうだが、
それよりも最終戦での、余りに不甲斐ない戦いに僕はブーイングをした。
正直、ブーイングで社長の挨拶はまったく聞こえなかった。
その後は全員で場内を一周し、ゴール裏のサポーターの前まで来た時、
コールリーダーが拡声器を社長に渡した。もう一度、挨拶をしろということだ。
「今日は応援ありがとうございました。」そのたった一言だった。
そして再び怒号のようなブーイング。選手たちは足早にロッカールームに消えていった。
こうして京都のJ1での06シーズンが終わった。
来年からはまたJ2での戦いが始まる。
京都は、僕らはいったい今回、J1でナニを得ただろうか?
その総括をすることも来年への戦いのひとつだと思う。
京都はナニを目指し、どう戦うのか?ここが見えないままのJ1挑戦だったと思う。
来季、京都は「KYOTO SANGA FC」と名前とエンブレムを変え、
また新たな挑戦を始める。
京都には本当の意味で、地元の誇りとなるようなクラブになって欲しい。
僕らはこれから寒い冬を越し、また春に歌うだろう。
それぞれにそれぞれの「ナニか」を持ち寄りながら。
愛すべき街と愛すべきクラブのために。
僕らサポーターにとってはいつだって、FC KYOTO is MY LIFEだから。
by:ANTONIO
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三度目の降格は僕らになにか強い意識を植え付けた。
それを言葉で表現するのは難しい。いや、むしろ表現なんかはしない方がいいだろう。
西京極に集うファンやサポーターはその「なにか」を、底冷えのする京都の町で、
それぞれに探しながら、また春に出合うのだから。
僕らはまた、次の春を待つつかの間の日々に入る。
土曜日、Jリーグ1部の京都の最終戦を観に行ってきた。
京都が06年をJ1で戦う最後の日。
同時に浦和では、浦和とG大阪が優勝を争う直接対決を行う。
降格争いではC大阪と福岡が、J2では柏と神戸が昇格をかけた戦いに挑む。
そう、それはそれぞれの土曜日。喜びと悲しみが錯綜した土曜の午後だった。
僕はキックオフ1時間前に西京極に到着。
肌寒く曇りがちの空だった。
最終戦のカードは京都vs名古屋。
名古屋はここ数試合、確実に調子を上げてきている。
京都は降格が決まっているとはいえ、ホームで最終戦を飾るという意地がある。
絶対に負けられないということだけは確かだ。
スタジアムに向けて歩いていると、秋の深まりを感じさせられる様に、
途中にあった銀杏の木が本当に美しかった。「本当にシーズンが終わるんだな。」と思った。
当日券でホームゴール裏へ。
1時間前にも関わらず、ゴール裏はけっこう人が入っているようだった。
降格が決まり、相手も中位の名古屋なので、もっと観客が少ないかな、と思っていたが、
京都のサポーターの、「最後まで見届けてやろう。」という気持ちを感じた。
京都サポーターはシーズン途中と変わらずに、選手のアップ時から
チャントを歌い、選手達をそして自分たちを励ましていた。
14:03分 KiCK OFF。
非常に名古屋の寄せが早い。京都はなかなか前にボールを運べないでいる。
前半、名古屋DFのスピラールに、CKからヘディングでGOALを決められた。
入れられた瞬間、京都サポーターはさらに大きなチャント(応援歌)で選手を鼓舞する。
しかし、京都の単純なミスが目立つ。頼みのパウリーニョは前線で孤立し、
MFのフォローも遅く、チーム全体に連動性がない。
当然、攻撃は単発的になるし、うまく名古屋の術中に嵌っているように見える。
たまにあるチャンスも、決定力に欠け逃しまくりだ。
前半は京都が自分たちのサッカーをさせてもらえずにハーフタイムへ。
後半、京都が気合を入れなおしたことを期待し、僕らは歌う。
しかし前半と変わらず、名古屋の巧みな強いプレスでチャンスが作り出せない。
イライラする展開が続く。フリーキックのチャンスも大きく外した。
「本当にこのまま終わっていいのか?」というサポーターの思いも、
ますます強くなってくる。
そうこうしている内に、接触プレーで京都のDFが退場!
残り時間を10人で戦うことに。
しかし、僕らサポーターは「諦めるな!」とばかりに歌う。
そこには「京都のプライドを見せてくれ!」という思いしかない。
しかし、ロスタイムが終わり、西京極に今季の終わりを告げるホイッスルが鳴り響いた。
誰も言葉にはならなかったし、できなかった。
みんな無言でピッチの選手たちを見つめていた。
西京極には名古屋サポーターの歓喜の歌だけが響いていた。
名古屋のサポーターへの挨拶が終わり、ピッチ中央には京都の選手とチームスタッフが、
観客へ最終戦の挨拶をするために残っていたが、なかなか挨拶が始まろうとしない。
不意に痺れを切らしたコールリーダーが拡声器でピッチへ怒りをぶちまけていた。
なんとも言い様がない怒りが、サポーター達を取り巻いていた。
ピッチに京都の社長が現れた瞬間、ゴール裏から怒号のような大ブーイングが巻き起こった。
もちろん僕もブーイングをした。降格をしたこともそうだが、
それよりも最終戦での、余りに不甲斐ない戦いに僕はブーイングをした。
正直、ブーイングで社長の挨拶はまったく聞こえなかった。
その後は全員で場内を一周し、ゴール裏のサポーターの前まで来た時、
コールリーダーが拡声器を社長に渡した。もう一度、挨拶をしろということだ。
「今日は応援ありがとうございました。」そのたった一言だった。
そして再び怒号のようなブーイング。選手たちは足早にロッカールームに消えていった。
こうして京都のJ1での06シーズンが終わった。
来年からはまたJ2での戦いが始まる。
京都は、僕らはいったい今回、J1でナニを得ただろうか?
その総括をすることも来年への戦いのひとつだと思う。
京都はナニを目指し、どう戦うのか?ここが見えないままのJ1挑戦だったと思う。
来季、京都は「KYOTO SANGA FC」と名前とエンブレムを変え、
また新たな挑戦を始める。
京都には本当の意味で、地元の誇りとなるようなクラブになって欲しい。
僕らはこれから寒い冬を越し、また春に歌うだろう。
それぞれにそれぞれの「ナニか」を持ち寄りながら。
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by dylj_west
| 2006-12-04 18:43
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