現実という破綻、そして希望。
とうとう、アメリカのブッシュ大統領は緊急の財政投融資を決断した。
日本や世界の株主からは歓迎の言葉がはかれ、その期待を反映するかのように、
各国の株式市場は、軒並み大きな上げ幅となった。
しかし、またも株価は暴落した。カンフル剤としての効き目はなかったのか?
いまや株式市場の動向は見通しがつかない状況だ。
世界の人々はいつか自分の家の扉をノックするであろう、¨恐慌¨に怯えはじめている。
以下は毎日新聞14日付けから。
これだけ見れば、対策の遅さはあったものの、今回はしょうがない側面もあると思う人もいるだろう。げんに日本でも公的資金注入の議論は加速するだろうし、
もうすでにしている。検証無しに。
しかし、いま僕が思うのは、実は今回の件は
もうひとつの見方ができるということだ。それはなにか?
簡単に言うと、新自由主義の破綻、
失敗を牽引役であったブッシュ大統領自らが認めたということだ。
新自由主義は、たびたび左翼なんかからは「市場万能論」という言葉で表現されてきた。確かに、市場の活性化という意味では規制緩和は一定の効果があっただろう。
行政の監督に振り回されることなく、設備投資を行える。コストカットも遠慮なく。
コストを切り詰め、利益幅を上げる。そのために邪魔な規制は撤廃する。
まあ、これが小泉元首相が言った「改革なければ成長なし!」である。
当時は、「国際競争力」という言葉がお題目となり、
その意味を分からない人達までもが、「やっぱり規制緩和は必要だよね~。」
などとよく言ったもんである。
規制をかければ、企業は日本から逃げていく論的なね。
共産党の京都府委員会書記長である細野氏は、
当時のある学習会の中で新自由主義をこう表現した。
「これは学問でも、経済思想でも、なんでもない。ただの盲信である。」と。
確かに、規制緩和によって大企業は成長した。私たちの目には見えないところで。
小泉元首相の跡を引き継いだ安倍氏の選挙用のポスターには、こう書かれていた。
「成長を実感に」と。結局は与党側も認めていたんだよ、庶民には景気が上がったっていう生活実感がないってことを。
それもそのはずで、企業の収益率の高さは雇用率の低下と反比例する。
こんなことを言うと、「いや、いや。雇用率そのものは上がってるから。」
という反論が、某慶応大教授のとこらへんから聞こえてきそうなんだけども、
それははっきり言って誤魔化し。
上がってるのは¨非正規雇用¨であって、正規雇用ではないのだ。
もちろん、派遣や請負などだけで食っていけるのなら問題はないのかもしれない。
問題は非正規の増加=貧困層の増加に結びついていることだ。
要は非正規の人の多くが、「食っていけないのだ。」
こんなことを言うと、たちまち某、三宅先生やら、某、金女史あたりから
「それはね、自助努力が足りないんだよ!」だの、「私たちの若い頃は・・。」
云々って話しが聞こえてきそうだけど、それも誤魔化し。
正規雇用の枠が減っちゃってるのに、どうしろと?
そこらへんの¨お答え¨は立派な彼らからは何も聞こえてこない。
非正規雇用が増えたのは、なにも自然現象ではない。
1999年の労働者派遣法の改正を契機に非正規雇用は増大した。
2004年には製造業へも拡大。規制緩和という名のもとで。
そしてこれは、なにも労働者の側の¨ニーズ¨から改正されたわけではない。
労働者のニーズは、食べていける賃金であり、安心できる生活である。
国会で志位共産党委員長の質問を受けて、福田元首相は答弁の中で「労働者のニーズもあったわけで・・。」と語ったが、安定した賃金がなければ、
そんなもんはニーズではない。
ただひとつ、派遣・請負労働者の増大のニーズがあったとすれば、
それは財界であり、経団連からのニーズだろう。
経団連は1995年に「新時代の日本型経営」という提言の中で、
しっかりと、これからの雇用は非正規雇用が増えてくると書いてあるのだ。
要は、財界の要望に応えて、政府は派遣労働者法を改正したのである。
それで、現在この有様。つまり貧困層の増大は自己責任ではないのである。
それでもまだ、自己責任を言ってくる奴はほぼ確信犯。
そいつから伸びている紐が、どこにつながっているのか見てみよう。
話しを戻そう。
このように、日本では新自由主義は規制緩和と合いまって、格差・貧困を生み出した。
世界では、投機マネーが猛威を奮い、アメリカでは、もう公的資金を注入しなければならない事態にまで陥っている。いち早く、公的資金注入を決めたドイツの首相は説明会見の場で「二度と恐慌を引き起こさないようにしなければならない。政府は監督をするのが役割だ。」と話した。
日本では、小泉さんが「官から民へ」を叫び、市場の自由化を推し進めた。
ライブドア狂想曲を覚えている人達も多いだろう。
しかし、¨その方向性が間違っていた¨という機運が世界では高まりつつあるのではないか。資本の暴走を止められなかった資本主義というシステム。
これこそがいま、本質的に問われていることではないだろうか。
今年の元旦、しんぶん赤旗に志位共産党委員長と経済同友会終身幹事の品川正治氏の対談が載った。その中で、志位氏は今回の投機マネーの暴走を止められなかった一つの要因を次のように話している。
暴走を食い止める方法は確かにあった。
しかし、日本は、アメリカはそれを放棄した。いや、助長した。
なにごとにも原因はある。ただ、多くの場合、
人はそれを知らされていないだけだ。
元旦のしんぶん赤旗でこの対談が行われた時、僕は正直、ろくに読まなかった。
しかし、いまのこの状況下でこの対談を読んでみると見えてくるものが多い。
資本主義の危機を、コミュニストと経済人の重鎮が語り合っている。
奇異に思う人もいるだろうが、ぜひ時間のある方は読んでみて欲しいと思った。
http://www.shii.gr.jp/pol/2008/2008_01/I2008_0101_1.html
対談の最後に、経済同友会終身幹事である品川氏はこう語った。
実は世界では、その準備をもう始めているのだろうか。
「そうだ。」と言う人もいれば、「そんなことはない。」という人もいるだろう。
日本ではそろそろ、選挙という¨準備¨がはじまりそうな気配だ。
by:ANTONIO
日本や世界の株主からは歓迎の言葉がはかれ、その期待を反映するかのように、
各国の株式市場は、軒並み大きな上げ幅となった。
しかし、またも株価は暴落した。カンフル剤としての効き目はなかったのか?
いまや株式市場の動向は見通しがつかない状況だ。
世界の人々はいつか自分の家の扉をノックするであろう、¨恐慌¨に怯えはじめている。
以下は毎日新聞14日付けから。
<金融危機対策>米大統領、資本注入を発表…大手9社合意
10月14日21時50分配信 毎日新聞
【ワシントン斉藤信宏】ブッシュ米大統領は14日、声明を発表し、公的資金で米金融大手9社などに計2500億ドル(約25兆円)の資本を注入することを柱とした金融危機対策を発表した。大手9社も資本注入に同意した。預金保護の上限を一時的に撤廃するとともに、銀行間取引に政府保証をつける。日欧も対応策を打ち出し、金融危機打開に向けて主要国が足並みをそろえた形で、世界株安が本格反転するきっかけになるか注目される。
資本注入は3日成立した金融安定化法に基づくもので、米財務省が金融機関から議決権のない優先株を買い取る。注入規模は、大手ではJPモルガン・チェースとバンク・オブ・アメリカ、シティグループの3社が各250億ドル(約2兆5000億円)となるなど20億~250億ドルとなる見通し。注入対象は地方金融機関などにも順次広げる方針で、政府は金融機関の経営者報酬を制限できる。
ブッシュ大統領は「前例のない大胆な対策だ」と指摘。ポールソン財務長官は「国が私企業の株式を持つのは好ましくないが、危機回避のため断固実行する」と強調した。
資本注入のほか、無利子の銀行口座について預金保護の上限を一時的に撤廃し全額保護する。また、銀行間融資を含む銀行の新規債務に3年間の保証をつける。米金融危機が深刻化した9月以降、突然の銀行破綻(はたん)で融資が焦げ付くことを警戒し、銀行が日々の資金を融通し合う短期金融市場はマヒ状態になっている。このため、政府保証で市場に安心感を与え、資金の流れを円滑にする狙い。
ポールソン米財務長官は13日、JPモルガン・チェースやシティグループなど大手金融機関の経営トップを財務省に集め、資本注入を受け入れるよう促した。米メディアによると、ポールソン長官は会合で「金融システム維持のため大手金融機関を破綻させない」との方針を盛り込んだ先進7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)の行動計画について説明、経営トップに理解を求めた。
これだけ見れば、対策の遅さはあったものの、今回はしょうがない側面もあると思う人もいるだろう。げんに日本でも公的資金注入の議論は加速するだろうし、
もうすでにしている。検証無しに。
しかし、いま僕が思うのは、実は今回の件は
もうひとつの見方ができるということだ。それはなにか?
簡単に言うと、新自由主義の破綻、
失敗を牽引役であったブッシュ大統領自らが認めたということだ。
新自由主義は、たびたび左翼なんかからは「市場万能論」という言葉で表現されてきた。確かに、市場の活性化という意味では規制緩和は一定の効果があっただろう。
行政の監督に振り回されることなく、設備投資を行える。コストカットも遠慮なく。
コストを切り詰め、利益幅を上げる。そのために邪魔な規制は撤廃する。
まあ、これが小泉元首相が言った「改革なければ成長なし!」である。
当時は、「国際競争力」という言葉がお題目となり、
その意味を分からない人達までもが、「やっぱり規制緩和は必要だよね~。」
などとよく言ったもんである。
規制をかければ、企業は日本から逃げていく論的なね。
共産党の京都府委員会書記長である細野氏は、
当時のある学習会の中で新自由主義をこう表現した。
「これは学問でも、経済思想でも、なんでもない。ただの盲信である。」と。
確かに、規制緩和によって大企業は成長した。私たちの目には見えないところで。
小泉元首相の跡を引き継いだ安倍氏の選挙用のポスターには、こう書かれていた。
「成長を実感に」と。結局は与党側も認めていたんだよ、庶民には景気が上がったっていう生活実感がないってことを。
それもそのはずで、企業の収益率の高さは雇用率の低下と反比例する。
こんなことを言うと、「いや、いや。雇用率そのものは上がってるから。」
という反論が、某慶応大教授のとこらへんから聞こえてきそうなんだけども、
それははっきり言って誤魔化し。
上がってるのは¨非正規雇用¨であって、正規雇用ではないのだ。
もちろん、派遣や請負などだけで食っていけるのなら問題はないのかもしれない。
問題は非正規の増加=貧困層の増加に結びついていることだ。
要は非正規の人の多くが、「食っていけないのだ。」
こんなことを言うと、たちまち某、三宅先生やら、某、金女史あたりから
「それはね、自助努力が足りないんだよ!」だの、「私たちの若い頃は・・。」
云々って話しが聞こえてきそうだけど、それも誤魔化し。
正規雇用の枠が減っちゃってるのに、どうしろと?
そこらへんの¨お答え¨は立派な彼らからは何も聞こえてこない。
非正規雇用が増えたのは、なにも自然現象ではない。
1999年の労働者派遣法の改正を契機に非正規雇用は増大した。
2004年には製造業へも拡大。規制緩和という名のもとで。
そしてこれは、なにも労働者の側の¨ニーズ¨から改正されたわけではない。
労働者のニーズは、食べていける賃金であり、安心できる生活である。
国会で志位共産党委員長の質問を受けて、福田元首相は答弁の中で「労働者のニーズもあったわけで・・。」と語ったが、安定した賃金がなければ、
そんなもんはニーズではない。
ただひとつ、派遣・請負労働者の増大のニーズがあったとすれば、
それは財界であり、経団連からのニーズだろう。
経団連は1995年に「新時代の日本型経営」という提言の中で、
しっかりと、これからの雇用は非正規雇用が増えてくると書いてあるのだ。
要は、財界の要望に応えて、政府は派遣労働者法を改正したのである。
それで、現在この有様。つまり貧困層の増大は自己責任ではないのである。
それでもまだ、自己責任を言ってくる奴はほぼ確信犯。
そいつから伸びている紐が、どこにつながっているのか見てみよう。
話しを戻そう。
このように、日本では新自由主義は規制緩和と合いまって、格差・貧困を生み出した。
世界では、投機マネーが猛威を奮い、アメリカでは、もう公的資金を注入しなければならない事態にまで陥っている。いち早く、公的資金注入を決めたドイツの首相は説明会見の場で「二度と恐慌を引き起こさないようにしなければならない。政府は監督をするのが役割だ。」と話した。
日本では、小泉さんが「官から民へ」を叫び、市場の自由化を推し進めた。
ライブドア狂想曲を覚えている人達も多いだろう。
しかし、¨その方向性が間違っていた¨という機運が世界では高まりつつあるのではないか。資本の暴走を止められなかった資本主義というシステム。
これこそがいま、本質的に問われていることではないだろうか。
今年の元旦、しんぶん赤旗に志位共産党委員長と経済同友会終身幹事の品川正治氏の対談が載った。その中で、志位氏は今回の投機マネーの暴走を止められなかった一つの要因を次のように話している。
志位: 国境をこえて瞬時に動きまわる投機マネーが、国民生活に深刻な被害をあたえています。原油と穀物、生活必需品や食料品の高騰が大問題になっています。とくに寒い地方では、お年寄りが灯油を買うのにもお金がないことが、命の危険につながるような状態です。この冬に犠牲者を絶対出さないように緊急対策が当然必要になってきますが、原油、穀物の高騰の原因がどこにあるかといったら、国際的な投機マネーが、これらを投機の対象にしたことにある。そのために起こっている事態です。
昨年、ドイツのハイリゲンダム・サミットで、国際社会が協調して投機マネーを規制すべきだとドイツが提案したでしょう。反対したのは「日米同盟」です。マネー資本主義、投機資本主義を、世界では協調して規制しようという動きになっているときに、日米が結託して反対するという構図になっています。ここにもほんとうに打開しなければならない一つの大きな問題があると思っています。
暴走を食い止める方法は確かにあった。
しかし、日本は、アメリカはそれを放棄した。いや、助長した。
なにごとにも原因はある。ただ、多くの場合、
人はそれを知らされていないだけだ。
元旦のしんぶん赤旗でこの対談が行われた時、僕は正直、ろくに読まなかった。
しかし、いまのこの状況下でこの対談を読んでみると見えてくるものが多い。
資本主義の危機を、コミュニストと経済人の重鎮が語り合っている。
奇異に思う人もいるだろうが、ぜひ時間のある方は読んでみて欲しいと思った。
http://www.shii.gr.jp/pol/2008/2008_01/I2008_0101_1.html
対談の最後に、経済同友会終身幹事である品川氏はこう語った。
品川: 同時に、もう資本主義のシステムも行き着くところまで来ているという感じです。私なんかも日常使わない言葉ですが、「新しい社会主義」ということを考えざるをえなくなるんですね。しかもそれは日本共産党のいうようにソ連型ではないものが。そのことを考えることが、ものすごく必要じゃないかと思いますね。
実は世界では、その準備をもう始めているのだろうか。
「そうだ。」と言う人もいれば、「そんなことはない。」という人もいるだろう。
日本ではそろそろ、選挙という¨準備¨がはじまりそうな気配だ。
by:ANTONIO
by dylj_west
| 2008-10-18 12:13
| かたるBAR
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